脳神経内科の診療内容紹介
■ 脳神経内科はどんな診療科?
当科は脳や脊髄、首や腰、末梢神経、筋肉の病気を主にみる内科で、扱う病気や症状は
多岐に渡ります。パーキンソン病や神経難病(筋萎縮性側索硬化症[ALS]など)や
脳卒中・脳卒中後遺症、片頭痛、てんかんといった病気、症状としては しびれやめまい、
うまく力がはいらない、歩きにくい、ふらつく、つっぱる、ひきつけ、むせ、しゃべりにくい、
ものが二重にみえる、頭痛、勝手に手足や体が動いてしまう、ものわすれ、意識が悪い、
など、多種多様な疾患・症状が対象になります。
その中でも当院で特に多く診療を行っている疾患・症状は次の通りです。
- 片頭痛、その他の慢性頭痛
- パーキンソン病や
その他の神経難病(多発性硬化症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症など)
- 脳卒中の再発予防治療(高血圧、糖尿病、悪玉コレステロールなどの生活習慣病の治療)
- てんかん
- 体のしびれ・痛み、体の動きが悪い、力が入らないなどの症状
- 睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害
宮崎県北部には脳神経内科の専門的な医療を提供できる病院ははほとんどありませんでした。
その中、当院では数十年前より宮崎大学脳神経内科の協力で非常勤の外来診療を、
そして2020年からは月~金の常勤での脳神経内科診療(外来・入院)を開始いたしました。
現在は日向市だけでなく、延岡市、門川町、都農町、椎葉村、美郷町、諸塚村、日之影町、
高千穂町からも、数多くの患者さんに来院いただいています。
当科の受診をご希望される方は、平日午前中に来院ください(予約不要です)。平日午後の受診を希望される方は、事前にお電話をお願いいたします。
紹介状は原則不要ですが、かかりつけ医からの紹介状がありますとよりスムーズに診療を行う
ことができます。
また、当科は宮崎大学医学部附属病院 脳神経内科と密に連携しております。
当院では診断・治療が困難と判断した場合は、大学病院の外来受診や入院予約を、
緊急性が高い場合は緊急入院の手配など、大学病院での診療を迅速に手配いたします。
■ 2023年度の診療実績:難病疾患とその他疾患、検査数
難病疾患
- パーキンソン病:203名
- 重症筋無力症:32名
- 多発性硬化症・視神経脊髄炎:22名
- 筋萎縮性側索硬化症:10名
- 進行性核上性麻痺:7名
- 多系統萎縮症:5名
その他の神経疾患
- 片頭痛:89名
- てんかん:97名
- 脳梗塞:79名(34名は急性期治療)
検査数
- 神経伝導検査:141件
- 脳波検査:17件
- 針筋電図検査:5件
■ 片頭痛やその他の慢性頭痛
片頭痛などの日常生活を悩ませる「慢性頭痛(がんこな頭痛)」の治療を行っております。
日々の頭痛のつらさは頭痛持ちの方でなければ理解しづらいことが多いです。それにも関わらず、
たかが頭痛で…と頭痛持ちでない他人から言われたり、さらには自分でもそのように思っている方すらもいます。
しかし、慢性頭痛、特に片頭痛は、世界保健機構(WHO)が「生活の質を下げる10大疾患」の
1つに挙げるほどの、れっきとした重要な病気です。そして、近年では、痛い時の痛み止めだけでなく、
片頭痛発作の回数そのものを抑える予防治療の発達により、頭痛を減らしてより良い生活を送ることも
できるようになりました。予防治療は内服薬だけでなく、近年発売された
注射薬(抗CGRP抗体製剤)の投与も行っております
がんこな頭痛にお困りの方は是非ご相談ください。また、頭痛持ちの方も、いつもの頭痛と異なる時はご相談ください。
高校生の皆さま、保護者の皆さまへ:
当院では数多くの県北一円の高校生の頭痛診療を行っております。特に、「受験に向けた頭痛対策」と
「頭痛が関係する不登校への治療介入」による目的による受診が増えてきています。
■ 受験に向けた頭痛対策
日々の勉強中の頭痛を減らすことはもちろんですが、予防治療を早期に行うことで、頭痛日数を減らし、
試験本番で頭痛に悩まされることがないようにしていきます。そして、起きてしまった頭痛を落ち着かせるための
内服薬の調整を行うことで、試験本番で頭痛が起っても迅速に対応できるよう指導をしていきます。
■ 頭痛が関連する不登校への介入
思春期の慢性頭痛には、片頭痛だけでなく「起立性調節障害」という病気も合併していることがあります。
起立性調節障害は、自律神経系の不調が原因で起る病態で、頭痛だけでなく、「朝なかなか起きられず午前中は調子
が悪い(午後からは調子がよくなる)」「立ちくらみを起こしやすい」「疲れやすい」といった様々な全身症状
が現れます。登校困難に至るまでの頭痛を持つ高校生の背景には起立性調節障害の合併が多いという報告も
あります。当科では両者についての診断・加療を行い、登校の意思のある高校生のサポートをしてきます。
高校養護教諭の皆さまへ:
頭痛が原因で保健室をたびたび訪れる生徒さんがいらっしゃいましたら、是非頭痛外来への受診指導をお願い
できれば幸いです。当科では、高校生が人生における貴重な青春時代を頭痛で悩むことがないよう
お手伝いできればと考えております。
中学生の皆さま、保護者の皆さまへ:
2024年4月より、中学生の頭痛診療も開始いたしました。診療内容は高校生と同じになります。
診察希望される方は平日午前中に来院ください。午後受診希望の場合は事前にご連絡をお願いします。
また、基礎疾患をお持ちの方は、必ずかかりつけの小児科に相談の上で来院ください。
■ パーキンソン病やその他の神経難病、レスパイト入院
パーキンソン病は、脳の神経細胞の一部が壊れることによって起こる病気で、主に体の動きを
コントロールするドーパミンと呼ばれる神経伝達物質の不足が原因です。この病気にかかると、
体のどの部位でも動きが鈍くなり、震えや手足のこわばり、歩行困難などの症状が現れます。
パーキンソン病の初期症状は、片側の手足が震えたり、硬くなったりすることが多く、徐々に症状が
進行すると、両側の手足が動かしにくくなったり、歩行やバランスが悪くなったりすることがあります。
また、顔の表情が乏しくなったり、声が小さくなったりすることもあります。
また、頑固な便秘、臭いが分かりづらくなる、寝言が多い、といった症状を合併していることも多いです。
もし、これらの症状があり、パーキンソン病が心配な方は当科へ一度ご相談ください。
問診、診察、画像検査、採血などから診断をしていきます。パーキンソン病が疑われる場合には、
できるだけ早期にドーパミンを補充する薬物療法を行っていきます。
また、当院では長年にわたり県北の神経難病の拠点と
して多くの難病患者さんと向き合ってきました。
現在は常勤の神経内科専門医のもと、体調不良時の入院や介護者の休息ためのレスパイト入院も随時可能と
なりました。また、外来では難病が疑われる方の診断、そして、治療は従来の内服薬だけでなく、
それぞれの神経難病に認められた特殊な注射薬を使用した治療も行っております。
外来・入院での加療を通して、難病患者さんのより良い生活の助けになればと思います。
■ 脳卒中と脳卒中再発予防
当院では、急性期の脳梗塞の治療とともに、脳卒中の再発予防に力を入れております。
脳梗塞は脳血管障害の一つで、脳内の血管が詰まって血流が滞ることで脳細胞が死滅してしまう病気です。
脳卒中の発症すぐで、脳外科的な治療が必要でない場合は、リハビリテーションを含む急性期の
入院治療を行います。入院中から再発予防の治療を行い、退院後は外来で再発予防治療を継続します。
高血圧・糖尿病・悪玉コレステロールなどの生活習慣病が再発リスクの増加につながる
ため、外来での生活習慣病の治療を行います。また、希望がありましたら外来でのリハビリテーションも
行うことができます。
■ てんかん
全身のけいれんや一時的に意識が消失する原因の一つとして「てんかん発作」があります。
当院では診察やMRI、脳波を用いて、てんかんが疑われる方の検査を行っております。また、てんかんと
診断された方の投薬治療や、けいれん発作時の救急受け入れ、入院管理なども行っております。
他院治療中で当院での継続加療を希望される方は、紹介状を持参の上で来院ください。
■ 手足ののしびれ・痛みなど
手足のしびれや痛みで病院を受診される患者さんは数多くいらっしゃいます。これらの症状の原因は
様々ですが、首や腰が悪い(頚椎症・腰椎症)、手足の中を通っている神経が圧迫されている、
または、すり減っている(末梢神経障害)、ことが多いです。突然生じた体の半分側のしびれ、
例えば顔の半分と同じ側の手のしびれ、などは脳卒中のこともあります。
当院ではレントゲンやMRIで首や腰、脳卒中についての診断を行うことができます。さらに、
当院には手足の中を通っている神経を評価する
「神経伝導検査」
をできる設備も整っております。この検査では、神経に電気刺激を加えて体の反応を確かめることで、
神経の痛み具合を確認することができます。
県北でこの検査をできる施設は数が限られており、現在も県北一円より数多くの患者さんに来院いただいております。
*ペースメーカーや除細動器を装着されている方は実施できません。
■ 睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害
「朝起きても疲れが取れない」「日中に眠気が強く、集中力が続かない」「いびきがひどいと家族に指摘された」
「夜中に何度も目が覚める」こんなお悩みをお持ちの方、それは睡眠時無呼吸症候群が原因かもしれません。
睡眠時無呼吸症候群(閉塞性睡眠時無呼吸)は、睡眠中に呼吸が何度も止まることで、
質の良い睡眠が取れず、日中の眠気や疲労が続く病気です。
特に、いびきが多い方や、朝起きてもスッキリしないと感じる方に多く見られます。
当院の検査と治療:
当院では、患者さん一人ひとりのライフスタイルに合わせた2つの検査方法をご用意しています。
■ 自宅でできる「簡易睡眠検査」
ご自宅でリラックスしながら睡眠の状態を確認できる検査です。
手軽に始められるため、まずは試してみたいという方に最適です。
■ 専門的な「ポリソムノグラフィー検査」
より詳しい診断が必要な方には、入院して行う精密検査を提供しています。
専門的な設備と医療スタッフの監督のもと、睡眠の詳細なデータを収集し、正確な診断と治療計画を立てます。
他にもこんな睡眠障害に対応しています。
- むずむず脚症候群: 脚がむずむずして眠れない状態。
脚を動かすことで一時的に楽になりますが、睡眠が中断されやすくなります。
- レム睡眠行動異常症: 夢を見ている間に実際に身体が動いてしまい、
夢に合わせて手足を動かしたり話したりする病気です。
- 睡眠覚醒相後退障害: 就寝・起床時間が通常より遅くなることで、社会生活に支障をきたす睡眠リズムの障害です。
眠りに関する問題は、放っておくと生活の質に大きく影響します。
まずは自宅で手軽に始められる簡易睡眠検査で、あなたの睡眠状態をチェックしてみませんか?
早期診断・治療が、健康な生活への第一歩です。
私たちの外来では、これらの検査を通じて、丁寧に診療し、患者様一人一人に適した治療法をご提案します。
安心してご相談ください。
施設認定
- 救急指定病院
- 災害拠点病院
- 協力型臨床研修指定病院
- 保健医療機関
- 労災保険指定医療機関
- 生活保護法指定医療機関
- 指定自立支援医療機関(更生医療)
- 被爆者一般疾病医療機関
- DMAT指定医療機関
- DPC対象病院
- 日本医療機能評価機構 認定医療機関
- 難病医療協力病院(宮崎県)
- 臓器提供協力病院(宮崎県)
- 日本外科学会 外科専門医制度修練施設
- 日本消化器外科学会 専門医制度指定修練施設
- 日本消化器内視鏡学会 専門医制度指導連携施設
- 日本不整脈心電学会 不整脈専門医研修施設
- 日本高血圧学会 高血圧認定研修施設
- 日本麻酔科学会 麻酔科認定病院
- 日本がん治療認定医機構認定研修施設
- 下肢静脈瘤血管内治療実施管理委員会認定
- 下肢静脈瘤に対する血管内治療実施基準による実施施設
- 日本静脈経腸栄養学会 NST稼働施設
- 日本整形外科学会 整形外科学会専門医療制度関連施設
- 日本リウマチ学会 専門医制度教育施設
- 日本透析医学会 専門医制度教育関連施設
- 日本神経学会 日本神経学会専門医制度教育関連施設
- 日本泌尿器科学会 専門医教育施設
- 日本皮膚科学会認定 専門医研修施設
- 日本医学放射線学会 画像診断管理認証施設
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